少年とお姉さんの露出話1



昼時を過ぎた駅前の雑踏。
 日曜日と言うこともあって、駅前の繁華街はそれなりに人で賑わっている。
 その中に、人待ち顔の少年が立っていた。

「もうそろそろかなぁ…」
 今日は友人との待ち合わせ。とは言え、実は相手の容姿も年齢も分からない。
 何しろ待っている相手は、ゲーム機のオンライン機能を使って、よく一緒に遊んでいるフレンド。
 実際に会うのは、今日が初めてだった。
(どんな人だろ…怖い感じじゃないと良いけど…)
 今日の相手は無二の相棒と言えるぐらいの仲で、実生活の相談をし合う程だ。
 優しくて大人しい印象の人物だが、いざ実際に会うとなると少し勇気がいる。
 ケータイの時計をチラリと見ると、待ち合わせの時間まで後10分。
「あの、もしかして…アランさん…ですか?」
 背後から聞こえる、儚い雰囲気を漂わせた細い声。
 アラン…ゲーム機上での少年のアカウント名、AーLAN073の呼び名だ。
「は、はいっ…」
(来たっ……!)
 心臓を高鳴らせながら振り向くと、そこにいたのは…
── おっとりとした、少し垂れ気味だが優しそうな目
  ── 自分より数歳年上の、落ち着いた雰囲気
  ── 少年と同じ高さから目線を送る、小柄な身長
  ── 服装もケバケバしさのない、大人しめの装い
 
 ここまでは想像したのに近かったが、しかし。
「は、始めまして……エイミィです」
 服の上からでも分かる、ボリューム感ある胸部の隆起。
 
 目の前の『相棒』は、女性だった。


 出会いから数分後、駅前の喫茶店の一席に、二人の姿はあった。
「…やっぱり…驚きました?」
 目の前の相棒…アカウント名EIMY3535。
(まさか…女の人だったのか…)
 女性のようなアカウント名だが、プロフィール情報は男となっていた為、意表を突かれてしまった。
(やっぱり、そういう人もいるんだなぁ…)
 ゲーム用のオンライン上でも、ナンパや援助交際のような事は行われている。
 そう言う目的の相手を警戒して、性別情報を男や非公開に設定している女性もいるという話は、何度か聞いたことがあった。
「正直に言うと…ビックリしました」
 ストレートに心中を吐露しながら、改めて彼女を見る。
 ふんわりとボリューム感ある、ウェーブのかかったセミロングの黒髪が縁取る、薄化粧の丸っこい顔。
 こぢんまりした鼻にちょこんと乗った、レンズの大きなフレームレスの眼鏡。
 そして小さめだが肉感的な唇が、全体的に柔和な雰囲気を作っていた。
 
「ごめんなさい、嘘をついてしまって……年上の女じゃ、ちょっと話しにくいよね…?」
 テーブルに置かれたホットティーを見つめながら、申し訳無さそうに話す彼女の声。
「そんなこと無いですっ!全然話しやすい感じだし、それに…」
 少年自身、年上だけど可愛らしい印象の彼女には、少し好感を持っていた。
「それに…性別年齢とか関係なく、エイミィさんは相棒だと思ってますっ」
 なにより彼女は、数々の死線を共に乗り越えてきた『相棒』なのだから。
「えっ…」
 少年の明瞭な返答に、しかし彼女の顔が茹で上がったように赤くなる。
 染まりゆく顔色を見て、自分が随分と大胆な台詞を言ったことに、やっと気づいたようだ。
(な、なんか恥ずかしいこと言っちゃった…) 
 同じように頬を染める少年。自然とこんな言葉が出るあたり、彼も天然系っぽいところがあるらしい。
「…あっ、あの…」
 何か喋ろうと必死に言葉を紡ごうとするが、しどろもどろの口はなかなか意味ある言葉を喋れなかった。
 
「…ふふっ…」
 二昔前の中学生のような恥ずかしい空間から、先に立ち直ったのは彼女の方だった。
「ごめんなさいアランさん、今更だよね…毎日のようにお喋りしてたのに」
 少年の必死な言い様と初々しい反応に、かえって落ち着きを取り戻したようだ。
 すまなそうな顔にも、柔らかい微笑が浮かぶ。
「いえ…それに、呼び方も呼び捨てで良いです」
「それじゃあ…アラン君でいい?」
「はい、エイミィさん」
「じゃあ私もエイミィって日常で使うと、ちょっと恥ずかしいし…」
 アランという呼び名も大概だが、エイミィも一般的な日本人の名前ではない。
「……省略して、エミならどう?」
 エミなら、日本人名で済む範疇かもしれない。
「ええ、それだったら…エミさんで」



「そんな状態でオンドラだったから、ビックリしちゃって」
「そこまでやって、実はお助け黒だったんだ。その後はどうなったの?」
 ゲームを通して知り合った二人だけあって、やはりゲーム談義に花が咲く。
 自己紹介の後は、一時間ほど続く会話の半分を、オンラインでの体験談に費やしていた。
 彼女…エミは大学二年生で、少年の町から電車で数駅の町で一人暮らしをしているらしい。
「…そろそろ、場所変えよっか?いつまでも飲み物だけじゃ…」
 丸々一時間ドリンクサービスだけで粘ったせいか、店員の目が少し険しい。
「ですね…とりあえず出ときましょっか」
 ぎくしゃくした空気も今は無く、すっかり打ち解けたようだ。
 少年が伝票を取ろうと手を伸ばすと、同じく取ろうとしたエミの手に重なるように触れる。
「!!」
 だが、触れた瞬間電撃が走ったように、勢いよく手を引っ込めてしまう。
 いくら何でも過剰反応では…そう思って彼女の顔を見ると、少し蒼白になった表情が怯えるように少年を見つめていた。

       ・
       ・

「…さっきは、ごめんなさい」
 先ほどの出来事から始めて聞く声は、暗く落ち込んでいた。
 結局会計は彼女が一括で払ってしまい、店を出た後あてどなく街中を二人で歩いていた。
「いえ、大丈夫です…」
 そう答える少年の声も、少し気まずい雰囲気だ。
「でもさっきは、あの……どうしたんですか…?」
 聞くべきかどうが迷うが、聞かない訳にはいかない…言葉を選びながら慎重に問いかける。
「………私…軽い男性恐怖症なの」
 長い沈黙の後、ポツリと漏れた返答は、ある程度予想していた答えだった。


「ちょっと早すぎたかな…?」
 始めて会った日から、幾らか日が経った頃。今日もエミとの待ち合わせだった。
 初日はギクシャクした雰囲気で終わってしまったが、その後も何度か会って、今では打ち解けた関係に戻っている。
『喋るのは我慢すればできるのだけど、身体が触れるのは…』
『でもアラン君と喋ってるときは、我慢しなくても自然と楽しく話せたから、もしかしたらと思ったの。けど……』
 自分の男性恐怖症の事を話す、エミの言葉を思い出す。
(要は触らなければいいんだ、なら大丈夫)
 少年の方にも下心が無かった訳ではないが、男性恐怖症の女性に無理なアタックをかけるような事はできない。
 なによりも、年上の可愛い『相棒』とのデートのような行為が楽しかった。
 この関係を崩したくない…それが少年の偽らざる本心だった。

 少年の目に、遠くから走ってくる一台の軽自動車が見える。
(あれかな…?)
 パステルグリーンのニュービートル。事前に教えてもらっていた彼女の車に違いない。
 やがてエンジンを絞りながら、丸っこい車体が少年の前に止まる。
 窓越しに見える運転手はエミだった。軽く手を振り、ドアを開けて車内に滑り込む。
「…ご、ごめんねアッ君。遅くなっちゃって…」
 アッ君と言うのは、彼のアカウント名の省略形で、最近はこの呼び方を使っていた。
「いえ、僕もさっき来たばっかで………っ」
 待ち合わせに於けるお決まりの辞令が、途中で止まる。
 凍りついたように固まった少年の表情。その視線の先には、今までとはかなり趣の異なる格好の彼女がいた。
 
 上半身にフィットした黒の半袖は、想像以上に豊かな胸と合わさって、柔らかなラインを描いている。
 下は生足にカーキのホットパンツで、太腿の付け根をギリギリまで曝け出していた。
 髪型や化粧に変化は無いが、こころなしか普段より気合が入っているような気がする。
(ど、どうしたんだろ…)
 今までは、身体のラインや肌の露出が少ない服装ばかりだったので、この急変には少年も戸惑いを隠せない。
(男性恐怖症が治った…って訳じゃないよね)
 さりとてこれが普段着の一つではない事は、彼女の不自然なまでにそわそわした態度からも明らかだ。
 扇情的な格好の真意を測りかねたまま、車が動き出してドライブが始まった。
 
(やっぱり、おかしい…)
 会話もどこか上の空の彼女を横目にしながら、少年の方も平常どおりにはいかなかった。
 普段とは全く異なる露出過多な格好に、丸っこい顔に見合った肉付きのよい肢体。
 ムチムチの身体を締め付けて、ボディラインを強調する装いは、少年には目に毒だ。
(…エミさんって、意外とスタイルが……)
 お陰で本日の牡器官は、常に勃ちっぱなしの状態だ。
 しかもそれを知ってか知らずか、時々隣から少年の股間へ視線を送りながら、露出した肌を仄かに紅色で染める。
 足を微妙に組み替えたりして何とか誤魔化すが、スラックスでは如何にも厳しい。


 ウウゥゥ…ンン……
 ふと、エンジン音が徐々に小さくなり、車体の振動も少なくなっていく。
(止まるのかな…?)
 外の景色が移り変わる速度が落ちていき、やがて完全に停止して動かなくなる。
 そこは郊外の田園地帯の農道脇で、周りには車どころか人も見当たらない場所だった。
 少年が考え事に耽っている間に、随分と寂れた場所に来てしまったようだ。
 
「……ねぇ、アッ君」
 相棒の静かな呼びかけに、少年の心臓が高まる。
(来たっ……)
 エミのどこか硬い口調の声。少年も、この状況で何も無いと思う程鈍感ではない。
 彼女の目を見つめ、聞く用意ができていることを知らせる。
「あのね……正直に、言って欲しいの……」
 何が来ても驚かないよう、心の準備をする。
「私を見て……エッチな気分に、なっちゃってる?」
 探りも何もあったものではない、ストレートすぎる問いかけ。
「!!」
 直球の言葉は少年の心構えを簡単にぶち抜き、またたく間にその顔を紅色に染める。
 問うた彼女自身も恥ずかしいのか、途切れ途切れの言葉が終わると、頬をさらに赤らめた。
(や、やっぱりバレてた…!)
 流石にこんな質問は想定していなかったのか、恥ずかしさに俯き言葉も出せない。
(どどうしよ、えっ、えっと……)
「変なこと聞いちゃって、ごめんなさいっ、あの……それに、こんな格好だし…」
「い、いえ…でも、どうして…」
「あのね…先生に聞いたんだけど…」
 混乱で鈍る口から何とか言葉を搾り出す少年に、たどたどしい答えが返ってきた。

       ・
       ・

「…なるほど……」
 要は、彼女の恐怖症は異性との接触と、男性器への拒否感が特に強いらしい。
 それを克服するためのリハビリの一環とのことだが…
(なんで、こんな格好を…?)
 聞いた限りでは、男性からの視線恐怖症のようなものは無いようだ。
 現に少年の視線に対しても、恥ずかしがってはいたが極端な拒否反応は無かった。
「そ、それでね…あの、アッ君の…オ、オ…」
 緊張にどもりながらも、必死に言葉を繋ごうとするエミ。
 モジモジと絡み合いながら蠢く両手指が、彼女の内心を表しているようだ。
(オ?……ま、まさか、おっきくなったオチンチンを、見せてって……!)
 そして、羞恥のせいか、視線を落としながらの彼女の頼みは。
 
 
「アッ君の…オ、オナニーを見せて欲しいのっ…!」
 少年の予想に、ダブルスコアの点差をつけるような内容だった。


「…えっ……ぇえ!?…オ、オナ…!?」
 エミの突拍子も無い提案に、少年も思わず裏返った奇声を上げる。
「……う、うん…私って、本物の…を見たのって、小さい頃に父のを見たのが最後で…」
「それに、見せてもらえるなら、色々見てみたいなぁ…って……」
 尻窄みになる声とは対照的に、随分と大胆な考えだ。
「そ、それじゃその格好って、もしかして…」
「男の子って、その…一人でするときに、エっ…エッチな本とか、見るんだよね……?」
 どうやら自分自身をオカズにしてくれという事らしい。
(それで、僕の股間を見てたのか…)
 自分の身体で興奮するか、確かめたという事だろう。なかなか用意周到と言うべきか。

「……………」
「……………」
 車内に降りる静寂の帳。二人とも赤く火照らせた顔は下を向いたままだ。
 エミの手遊びの様な指の蠢きと、時折チラと相手を伺う目だけが、唯一の動きだった。
「………それで……どうかな?」
 暫しの沈黙の後、俯きながら答えを求めてくる。
「…あの…ぼ、僕でいいんですか?」
 とりあえず何か話さないと…混乱した頭を落ち着かせる為、時間稼ぎの質問を投げ返す。
「こんなこと頼める人、アッ君しかいないし……それに…」
 少し言葉を切ると、上目遣いの瞳がすがる様に少年を見つめてくる。
「…私も、アッ君なら…いいかなって…」
 躊躇いがちに放たれた言葉は、少年の心を揺り動かすのには十分な破壊力だった。
(うっ……可愛い……)
 年頃の童貞少年には卑怯すぎる熱視線と、可愛らしいお願い。
 結果的に時間稼ぎどころか、さらに自分を追い詰めることになってしまった。

(でも…どうしよう……)
 とはいえ思春期の青少年にとって、股間の勃起を見られるのは相当恥ずかしい。
 さらに一番恥ずかしい行為を見られるとなれば尚更だ。
(み、見られながら、オナニー…しちゃうなんて……)
 オナニスト憧れの見られながらの生オカズオナニーに、全く興味が無いわけではない。
 だが少年も、自ら進んで最も恥ずかしい行為を曝け出す程の変態ではなかった。
(…だけど……)
 尚も少年を見つめる潤んだ瞳。聞いた限りでは、男友達は彼以外にはいないらしい。
(こんな事頼める人、僕しかいないんだろうな…)
 自分しかいない…内容はともかく、親しい人に頼られるのは悪い気はしない。
 
「わ……分かりました…っ」
「…ほっ本当に…いいの?」
 こちらを窺う彼女から、安心半分不安半分の声が投げかけられる。
「…大丈夫……やります」
 どちらにしろ、既に梯子は外されているに等しい。自らに言い聞かせるように、勤めて冷静を装いながら承諾した。
 ここまで言ってしまっては、もう後には引けない…
 オナ見せ行為にちょっと興味があったというのも、ほんの少しだけ理由にあったが。
 
  
「…えっと、それじゃ……ここで、ですか?」
「う、うん…ここなら、誰も来ないと思うし…」
 車は田園地帯の農道脇、数本の木が並ぶ裏側に停めてある。
 周りは無人の野で遮蔽物もあり、万が一人が通りかかっても、近くに来なければ見られることは無いだろう。
「………」
 だが少年もOKを出したとは言え、なかなか次へ進むことができない。
 カーセックスならぬカーオナニー、オマケに親しい女性への公開オプション付き。
 このメニューでは、少年を責めるのは酷なことだろう。
「………」
 エミも、無茶な頼み事を聞いてもらっている手前、催促しにくい。
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